フィデル号。
2年ちょっと前の話し。
糸島に移住して数日後
新しい我が家に
最初のお客さんをお迎えしました。
東京でお世話になっていて
その少し前に地元・九州に戻っていた
元「 footballista 」アートディレクターの長さん。
光葉シェフの手料理を食べながら
最近のサッカー界について
博多の街の移り変わりについて
子供が成長するということについて
などなど、いろいろな話しになり
とても愉快な宵となったのでした。
そのなかでちらっと
自分がこれからサッカー指導をする高校まで
自転車で行くということを話していました。
片道約50分。長さんビックリ。
土地勘のない自分はピンときていなく。
知らないからできるんでしょうね
なんて笑って話しが終わったと思います。
翌日、長さんからメッセージが。
「 うちの母が乗ってる車が
8月に車検なんだけど
もういい歳なので運転やめようか
って話してます 」
「 母は、そんないい夫婦ならあげる
って言ってますので 笑 」
まさかの車プレゼントオファー。
あまりにビッグなものなので即答できず
光葉と数日あれこれと相談をして
ありがたく譲っていただくことにしました。
人生で初めて所有する車。
長さんからの提案もありこう命名されました。
「 フィデル号 」
そのネーミングの由来は
うちら夫婦が糸島移住する前にした
最高指導者フィデル・カストロから。
長さんも、光葉も、自分も
彼の思想と生き様に惹かれていた上に
うちらがキューバを訪れたときに死去という
何か感じざるを得ないタイミングもあり。
フィデル号がやってきてからのうちらは
行動範囲が格段に広がり、糸島や福岡だけでなく
九州各県や中国地方などの遠方にも
行けるようになっていったのでした。
それから2年ちょっとが経ち
フィデル号にも故障が目立ち始め
特にエンジンがそろそろ限界とのことで
この夏ついにお役目御免となりました。
残念だったのは
フィデル号を譲ってくださった長さんのお母さまに
直接お礼を伝えられなかったこと。
車をいただいたということだけでなく
会ったこともない東京から移り住んできた夫婦に
信じられないくらい大きな優しさを示してくれたこと
そして、そういう人が福岡にいるんだということが
とにかくたまらなく嬉しかったんです。
本当に本当に本当にありがとうございました。
その後、中古で購入した新しい車に
「 フィデル号 」は無事に襲名されました。
で、それに伴って、車のカギにつける
フィデル・カストロのキーホルダーを
ネットで探しまくっていた光葉。
「 いくら探しても
フィデルのものがなかったから
チェ・ゲバラのにしたよ。
まぁ、キューバ革命の同志だしね 」
届いたものを見てビックリ。
ケンタッキーフライドチキンコスプレって(笑)
新しいフィデル号との旅がスタートです。
『 小さいほど大きくて
大きいほどちっぽけである。
小さいものほど大きな理由がある 』
まど・みちお( 絵本作家 )