Football × Journey = Pura Vida!

Pura Vida!とは中米コスタリカの挨拶でよく使われる「素晴らしい人生だよ!」の意味。

驚きのメール。


前回の投稿に書いた、

ゲストコーチとして参加させてもらった

INAC多摩川の合宿。


後日、合宿の感想を

代表の佐藤さんにメールで送ると、

それを保護者の方に転送したとのこと。

そして、その転送したメールが

僕のところにも送られてきました。


佐藤さんに対して

物申した部分があった内容

だったにもかかわらず、

それを自分が教えている

子供の保護者と共有してしまう

佐藤さんの度量の大きさ。


もう、ただただスゴイなと…。


ぜひ読んでみてください。





以下、昨夜話した連絡網で

ご家族に送ったメールを添付します。



こんにちは、佐藤です。

4・5年生男子春季合宿に

ご理解とご協力のほど

ありがとうございました。


どうしても

お伝えしたいことがあります。


今回ゲストコーチとして

帯同して頂いた

有坂哲コーチ(テツコーチ)のお話です。


私とテツコーチの繋がりは、

社会人サッカーで約2年間一緒に

サッカーをプレーしたことだけ。


その後、別のチームで

長い期間指導者をされていて、

でも常に考え方や行動力に

興味を抱いていました。


そして、テツコーチは

最近の4年間は指導者ではなく、

ある有名なカフェの店長として

サッカーの現場から遠い場所で働いていました。


そんなテツコーチが、

東京から別の地域に移住することを聞き、

移住までの数ヶ月の充電期間があることを知り、

指導者大会に参加の打診をしました。


快諾してくれました。

そして楽しみにしてくれました。


テツコーチのプレーは

会場に足を運んで頂いた皆様が見た通りです。


私は久しぶりのテツコーチとのプレー、

そしてやはり一番は会話のやり取りが

とても楽しかったのです。


その会話のひとつに、

移住先で指導者として現場に立つことを

考えているとのことを聞きました。


そして、その時からもうひとつ

私が考えていたことがありました。


INAC多摩川の合宿に

参加してもらいたいな、と。


そんな流れがあり、

テツコーチが今回の4・5年生合宿に

帯同してくれることとなりました。


私が合宿の帯同で

打診した条件はふたつです。


■選手の心の動き、

   身体の動きを観察して

   アドバイスしてほしいこと


■25日の夜のミーティングで

    テツコーチの体験談を

    話してほしいこと


以下、合宿後に

テツコーチから頂いたメール内容を抜粋します。


テツコーチが選手に伝えたかったこと、

私が今後さらに成長するために

必要なヒントが詰まった内容でした。


選手にとってとても貴重な、

私にって自身を省みる貴重な合宿でした。



佐藤さま


お疲れさまです。

合宿に呼んでいただき、

本当にありがとうございました!


 帰り際にも言ったと思いますが、

自分にとってのコーチ復帰の

最初の現場がINACだったこと、

あとはやっぱり、

佐藤さんと一緒だったことが

すごく嬉しかったです。


石神井高校でコーチをしていたときに、

チームは違うけど「戦友」だと思っていたので。 


当時の周辺のサッカーコーチたちの

「サッカーを語るばかりで、子供が語られない」

そのことが好きじゃなく、面白くもなく、

どんどんと指導者に会わなくなっていったなか、

佐藤さんとはいろんな話しができて

楽しかったんです、

今回それもあらためて思い出せました。


子供たちがたった2日

という時間のなかで見せてくれた成長。


たぶんそれはまだ、

身体中に染み込んだものではないと思うんですが、

目覚めた瞬間ではあったと思いました。


身体が気づいた瞬間というか。


相手と対面しても

ビビらずに仕掛けていってたことや、

ちびっ子たちがデカい選手に怯まずに

キープしていたことは、

練習でやっていたイメージが

持ててたからでしょうね!


見ていて

彼らの未来にワクワクしちゃいました。 


リリーとリバプールとやって

崩れていったあの時間は、

ぜひ未来への種にしてもらえたらなぁと思います。


「意識発の問題」ではない「身体発の問題」。


ああいうときは

試合や大会をやっていくなかで

必ず訪れると思うので、

じゃあ、次にああなったら

自分はどんなプレーをしたらいいのか、

どうやってチームに関わればいいのか、

みんなで何をしたらいいのか、

そのイメージをもつには

最高の状況でしたよね。 


そして、あのなかで、

いつもの自分より崩れることはあっても、

何もできないほどに大きく崩れずに

チームの力になることができる、

それが上手い選手より遥かに価値のある

素晴らしい選手なんだよということも。


個人的にちょっと気になったことを

ひとつだけ書かせてください。 


全体的に

「考え」と「言葉」で埋め尽くされていて、

「余白」が少なかったなぁということです。 


佐藤さんの放つ雰囲気が

「自由」を感じさせてくれるので、

子供たちが縛られている印象は

まったくもってないのですが、

佐藤さんが求める「答え」に

近づいていこうとしてるようには見えました。


「イメージ」を持つことより

「答え」を探しているように感じました。 


でも子供たちが

佐藤さんのことを信頼しているのが

伝わってきたので、

嫌々に近づいていこうとしてるのではなく、

あくまで認めてもらいたい

という欲求からだとは思いましたが。


長いプロセスの途中での、

そういうアプローチをしている時期

ということかもしれませんし、

あくまで2日関わっただけの人間が

感じたことということでお許しください。


何はともあれ、

ただただ素晴らしい2日間でした! 

指導者大会も含め、

そんな素敵な機会を与えてくださって

本当にありがとうございました!!

これからもよろしくお願いします!!


有坂哲



移住先での

テツコーチのご活躍を楽しみにしつつ、

私も選手達との関わりを思考し続けます。


佐藤



以下、このメール配信に対し

ご家族からコメント。



■有意義な遠征

   ありがとうございました。

   たいていの子がそうかもしれませんが、

   ショウは「上手くいったこと」

   しか話しませんので、

    有坂コーチの「崩れた時間」、

    興味深かったです。

    きっと日々の練習や次の練習試合の時に

    同様のシーンがあると

    教訓を思い出すのでしょうね。

    グルージャの岩渕選手とは

     前のクラブでもご縁があり、

     陰ながら応援しておりましたので、

     嬉しい再会でした。

     今後ともよろしくお願いいたします。


■メール興味深く拝見しました。

    所感は別途メール差し上げますが、

    今回のレアル、リバプールとの

    練習試合は予定メール見たとき

    マジで車で見に行きたいと思いました。

    ソラと見に行けば良かったと後悔しています。

    ※ソラ君は1月末で受験のため

      退会した選手です。


■テツコーチの仰る、

    子供達が「イメージ」ではなく

   「答え」そのものを

    探してしまう傾向が見られる、

    という話のくだりに

    ドキリとさせられました。

    サッカーだけに限らず、

    親の姿勢をも考えさせられます。


■佐藤コーチ、

    大変にありがとうございました。

    また、貴重なテツコーチとの機会を

    頂き重ねてありがとうございました。

    セイジも帰って来た時いつものように

    「楽しかった?」と尋ねましたら、

     珍しく楽しかった想いだけでなく、

     テツコーチから聞いた体験談など、

     プロの気持ちをたくさん話し、

     一回り大きくなったなと感じておりました。

     確かにテツコーチが仰るように

     みんな佐藤コーチが好きで、

     またINACが好きなことがよくわかります。

     これからも変わらず、

     後ろで支えていきたいと思います。

     ありがとうございました。



これからも良い旅を!

これからも良い出会いを!

また会いましょう!


佐藤




このメールを読ませてもらった後、

あるコトバが頭をよぎりました。


グアルディオラのポジショナルプレー特別講座 」

( オスカル・モレノ、東邦出版 )

という素晴らしい本の中で紹介されていた、

ドラ・ガルシアという芸術家のコトバ。


『 良い問いは

    良い答えを用意してはいけない。

    どんな問いも答えを持つべきではない。

    私はいつも挑戦的な問いで

    答えを追求し続けることを心がけている。

     それが真の芸術の姿だから。

     考えて、考えて、考えて、

     どんな結論も避ける。

     答えを得ることは芸術家にとっての

     終わりを意味するから。

     しかし、答えを追求し続ける困難に

     立ち向かうのは大きな喜びそのものである 』


子供たちがどうしたら

さらに成長していけるのか、

指導者として自分がどうしたら

さらに成長していけるのか、

そんな問いを常に自分に投げかけて、

しかもそのときに見えた答えに

決して安住しない、

その「 とらわれない姿勢 」。


そういう大人に出逢えた

子供たちは幸せだろうなぁ。


本当に関わらせてもらえてよかった!

あらためて、ありがとうございました!!



  『 教師とは教える人ではなく、

      生徒が知性を獲得する

      プロセスの協力者だ。

      よって教師が注目すべきは、

      何を学習させるかではなく、

      その学習によって

      行動を起こす生徒自身なのだ 』

               テラサ・マウリ( バルセロナ大学教授 )



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