自由な少年たち。
土曜日、日曜日と
両日ともに丸一日試合だったので
車で移動しただけの印象だけですが、
街のつくりや雰囲気に異国情緒が漂っていて
あらためてゆっくり来てみたい場所だなぁと。
サッカーを通して
初めての土地に行けるってほんと嬉しいことです。
あ、ちゃんぽん食べればよかった・・・
フェスティバルは
初日が1分け1敗、2日目が2勝、
最後の順位決定戦では延長戦の末に敗れ、
3位グループの準優勝という
なんともよくわからない結果に(笑)
個人個人としては、
2日間5試合のどの試合も
全員必ず半分は出るという条件でやるなか、
成長のきっかけと発見がたくさん見つけられた
有意義なフェスティバルとなりました。
強度をもったプレーだけでなく、
相手と相手の間で
フリーになれるポジションを探したり、
ボールをもったDFがプレスをかけられても慌てずに
狙われているすぐ近くのMFではなくて
もうひとつ奥でフリーになってる
FWにパスを入れたり、
ボールをもった相手に激しくアプローチしながらも
足を出して奪うタイミングを見極めていたりという
相手を見ながらの駆け引きが入ったプレーが
攻守ともにあらゆるポジションで見られ始めたことは
今の彼らにとって大きな成長の証でした。
24チームで行われた今回のフェスティバル、その中に
嬉しい気持ちにさせてくれるチームがありました。
副審をやっているときに
「 このチームの子供たち、なんか違うな・・・ 」
とふと思い、よくよく見ていたら、
子供たちが恐れることなく、怯えることなく、
本当に伸び伸びとプレーしていたのです。
で、なにが理由なのかなと思ってまた考えてると、
ベンチにいる指導者の人がすごく静かだったんです。
誰かがいいプレーをすると褒めるくらいで、
それ以外は静かに見守っている感じの人でした。
小さな失敗は当然見えているだろうし、
それに対して言いたくなる気持ちも
あるかもしれないけれども、あえて
「 言わない 」ということを「 選んでいる 」。
「 言う 」ことが
子供の成長にとってどれだけマイナスになるかが
きっと想像できているんじゃないかなと。
ハーフタイムでも子供たちは
こうした方がいいんじゃないかということを
安心しきった表情で監督とコーチに話していました。
ハーフタイムが終わり
選手がグランドに入ってきたとき、
そのチームのひとりの選手に
「 みんな楽しそうにサッカーやるね 」
と話してみると嬉しそうな顔をして
「 はい!楽しいですね! 」
こっちも嬉しくなっちゃって、
「 すごくいいねー。
自由にやらせてもらえてる感じなの? 」
今度はきょとんとした顔になり、
「 え、自由ってなんですか? 」
そこで時間がなくなってしまったので
「 後半も楽しんでね 」とだけ伝えてキックオフ。
あの彼はもちろん自由って言葉の意味を
単純に知らなかっただけだとは思いますが、
自由が当たり前すぎる環境だからこそ
その言葉が彼らには存在していなかったのかもな、
なんて妄想まで思わずしてしまいました。
で、じつは、
最後の順位決定戦での相手はそのチームでした。
雨がかなり降ってきてしまい、
グランドはぐちゃぐちゃ。
試合展開的にはほぼ互角に進み、
数少ない決定機も両GKのナイスセーブで決められず、
得点が入らないまま延長戦に突入。
延長戦でも同じような展開が続きましたが、
ラスト2分くらいで相手がゴールを奪い、
そのまま逃げ切られ 0対1 で終了しました。
やってて思ったのは
「 これは手強いな・・・ 」ということ。
「 強いな 」と感じさせるチームはありますが、
「 手強いな 」と感じさせるチームってほんと稀で。
一見こっちが全然やれてるように見えるけども、
大事なポイントはことごとく抑えられてる。
手強さの正体は「 対応力 」の高さでした。
うちが個人の力で局面を打開した後、
あらためてそこを突いて行こうとすると
ひと足先にいいポジションをとられてたり。
相手がパスで前進してくるなかで
いいインターセプトから
ボールを奪えてチャンスが作れた後、
あらためて相手のパスの分断を
意気揚々と狙ってると
ドリブルで突破されて前進されたり。
うちは前後半で
メンバーはほぼ入れ替わったのですが、
それに対してもすぐに対応してきました。
でもそれは指導者に
対応の仕方を教えてもらったわけでは当然なくて
試合をやっているなかで
彼ら自身が自然と導き出した対応なんですよね。
その対応力の高さは
決して生まれもった能力なんかではなくて、
「 言われたことをただやる 」という経験ではない
「 自分で感じて、発想して、行動して、考える 」
という経験を日々の練習や試合のなかで
積み重ねてきているからこそ育まれた力。
強制力のなかではなくて、
柔らかな空気感のなかだからこそ育まれた力。
ゆっくり、ゆっくりと、育まれた力。
指導者の人があえて
「 言わない 」ということを「 選んでいる 」
その大きな大きな成果なんだと思います。
ほんっとにいいものを見れたーーー
育成はそうでなくっちゃ。
『 コーチングとは
答えとなるある方向性を与えるのではなくて
自分で答えを導き出すための余裕を与えるとか
本人自身の切り替え力や目線を変えるための
仕掛けをつくってあげること 』