ナチュラルに。
20代の前半
高校生のサッカーコーチをしている時
1週間くらいのオフができたので
思い立ってバリ島へひとり旅に行きました。
プランは決めずに空港近くのクタで1泊
翌日にはワゴン車のような乗り合いタクシーで
とりあえず島の中部にある山間の町ウブドへ。
そうしたら、ここが本当に心地いい土地で!
豊かな自然が広がる田園風景で
標高が高いから空気は澄んでるし
独自の文化と芸術が町中から感じられるし
町自体はこじんまりとしているし。
たまたま見つけた緑に囲まれた
小さな安ペンションの居心地も良かったので
ウブドに数日いることをひとまず決めました。
といっても
いることを決めただけだったので
その時々の気分に合わせて
町中を散歩をしたり
草サッカーに交ぜてもらったり
地元アーティストのアトリエを見させてもらったり
ご飯を食べながら本を読んだり
原付を借りて少し郊外に足を延ばしたり
と気ままな日々を過ごしていました。
日本でのせわしない感じが抜けてきて
いい感じにバリ感覚になりかけてきた数日後。
カフェのテラス席でボーっとしていると
そのカフェに面した通りの先から
ひとりの見知らぬ日本人男性が
こちら方面に向かって歩いてきました。
「 うわ、日本人だ・・・ 」
とっさに目線を逸らしてる自分がいました。
たぶん日本人と接することでいい感じのバリ感覚から
解き放たれてしまうのが怖かったからだと思います。
急に心がざわつき始め、顔は上げられず。
カフェラテを飲んだりして
自分の気持ちをごまかそうとするも逆効果。
その日本人男性が近づいてくるにつれて
心はどんどんと苦しくなっていきました。
そしていよいよ、その男性がテラス席の前を通過。
「 こんにちは 」
自分に向かって日本語の挨拶を。
顔を上げると
その人はニコリとだけしてそのまま去っていきました。
ほんとビックリしました
初めての人にする挨拶としては
あまりに自然な言い方で、あまりに自然な態度で。
ああ・・・オレはなんてカッコ悪いんだ・・・
人間として完敗だと痛感させられて
自分の内側から強烈な「 欲 」が湧き出してきたのです。
「 誰といても、どこにいても、自然体でありたい 」
あれから20数年
そういられる自分に少ーしずつはなってきたので
若い頃よりも今の方が楽しい!
って純粋に思えてはいるんですが、でもやっぱりまだ。
フラットな心でいながら、素直に喜べて、素直に怒れる
様々な感情に反応できる自分になっていきたいんですよねぇ。
物欲や名誉欲とかは割とないんですが
自分自身が自然体でありたい
という欲求はかなり強いんだなって最近になって思います。
だから、東京から糸島に移住もしたんだろうなと。
自然の中にいると、自分自身もまた自然に還っていく。
そう実感することの多い、1年ちょっとの糸島ライフ。
もうすぐ本格的な夏がやってくるー
『 ひとつのドアが閉まっている時
もっとたくさんのドアが開いているんだよ 』
ボブ・マーリー( ミュージシャン )