6年生の変化。
まさかまさかの3週間連続となった
「 グローバルアリーナ 」上陸。
先週のジュニアユースに続き
今回は土日で行われる6年生の大会
僕は日曜日からの参加となりました。
この大会は
メンバーもフォーメーションも交代も
すべて選手たちで決めるという形をとり
こっちからの条件としては参加した14人全員が
1試合のなかで半分以上は出るということのみ。
土曜日の予選リーグを3連勝で終え
日曜日はチャンピオンクラスでのトーナメントに参加
残念ながら初戦で 0対0 PK1-2 にて敗退となりました。
勝っても、負けても
3試合はやれるレギュレーションだったため
次の試合に向けてミーティング。
初戦は「 2-3-2 」という
フォーメーションで戦ったのですが
次の試合は「 1-2-1-2-1 」でやりますと。
なんだその謎のフォーメーション…
話しを聞いてみると
かなりリスキーではあるものの
挑戦意欲をそそるオモシロイ試みでした。
彼らのその想像を少しでも膨らますために
「 このスペースは誰がどう守っていくの? 」
「 攻撃になったらここの選手はどう関わるの? 」
「 GKはどんな準備をしていくの? 」
などの質問を投げては、彼らがそれに答えて。
一部の選手だけではなくて
全体としてこの挑戦に食いついているのがわかり
こっちの想像もふわっと膨らんでいきました。
そして、2試合目。
結果から言うと 0対2 で負けてしまいました。
が
本当にポジティブな内容でした。
攻撃面で関われる選手が格段に増え
特に、後ろから次々に参戦してくる感じは
“ 香川真司 ” がヨーロッパでブレイクした
クロップが監督を務めていたときの
「 ドルトムント 」のサッカーのよう。
やるじゃねえか…
そそられた挑戦意欲が
アグレッシブなプレーにつながって
それに比例していくように
チームとしてのクリエイティビティも
自然と増していったのが伝わってきました。
ゴールを奪えなかったこと
スピードのある選手にカウンターでやられたこと
それをどうしていくかを
もう一度話し合って3試合目に臨み
最後は 7対2 で勝利しました。
相手を感じながら攻撃できたこと
いろいろな形からゴールを奪えたことは
この試合での大きな収穫に。
と、個人として大きな成長のきっかけを
つかんだであろう選手もいました。
とても真面目で心優しき男、FW “ Kくん ” 。
2試合目からはワントップの位置に入り
前線での起点になってボールは収めるわ
強引な突破から何度もチャンスをつくるわ
相手がボールを持てば激しいプレスで奪い返すわ
チームメイトもビックリする活躍を見せました。
彼のこの活躍
じつは「 あるシーン 」が影響していました。
2試合目のスタート直後くらい
相手の激しいチャージでボールを奪われた後
Kくんはグラウンドに倒れこんでしまいました。
僕が審判をやっていて
厳密にとればファールだったかもしれませんが
あえてファールをとらずにプレーを続行させました。
プレーが切れた後
起き上がり始めたKくんのところに行き
「 大丈夫? 」と声をかけると
普段と違った低い声での「 はい 」
そして、これまで見せたことのない
怒りに満ちた眼、獣のような眼をしていました。
うわ…楽しみ…
案の定、その後の彼のプレーは
何の迷いも感じられない最高のものとなったのです。
普段から周りの状況を見て
よく考えることができる選手は
それ自体すごくいいことではあるのですが
試合中にその部分が過剰になると
プレーのタイミングに間に合わなかったり
考えすぎることで迷いが生まれてしまったり
自分ではなく周りの意思でプレーしてしまったり
ネガティブに働いてしまうことが多いんです。
真面目で優しいKくんもまさにそういうタイプで
それが足を引っ張ってしまうこともよくありました。
ただこの日の相手のチャージを受けた後の彼からは
そうなってしまう気配はまったく感じられないというか
怒りが満ちたことで雑念を浮かべる余裕がなくなった
ような状態になり、でもちゃんと理性も働いていて
すごくいい心のバランスでプレーできていました。
「 Kさ、相手のチャージを受けた後
なんかスイッチ入った感じになって
プレーがすごく良くなったよね。
迷うことなくプレーもできててさ。
Kの場合はこの状態になれれば
自然といいプレーができるんだと思うよ 」
「 でも相手がチャージしてくるのを
待ってるわけにもいかないよね。
だからそういう気持ちにもっていく方法を
自分で何かしら見つけることができたら
いつだって今日みたいな気持ちで
プレーすることができるんじゃないかな 」
試合が終わって
そんな話しをしていると、横にいた6年生が
「 じゃあ、僕が試合前に
Kくんのこと蹴り飛ばしてあげるよ~ 」
Kくんはいつものように静かに微笑んでいました。
これからどうなっていくのか、楽しみです。
『 誰の真似もする必要はない。
自分達の道を探しなさい 』
オシム(元日本代表監督)