Football × Journey = Pura Vida!

Pura Vida!とは中米コスタリカの挨拶でよく使われる「素晴らしい人生だよ!」の意味。

強いボールを蹴ること。

 

この日の小学生練習は3・4年生の担当、

「 強いボールを蹴る 」ことを中心に。

 

練習前の彼らは大体いつも、

ゴールに向かってシュートを打っています。

低学年のときから身体もちょっと大きくなり、

ボールが前よりも遠くへ飛ぶようになったことに

快感を覚えているからかもしれませんね。

 

最初は止めたボールを

GKのいるゴールに向けて強いシュート。

それぞれ何本か蹴ったところで

みんなに集まってもらい、

僕のiPhoneで映像を見せることにしました。

 

ベッカム ” のプレー集を数分だけ。

 

 

 「 うおー、すげーーー 」

 

 「 知らないなぁ、この選手、誰? 」

 

 「 なんであんな強いシュート打てるんだろ 」

 

 「 お父さんが大好きなベッカムだ~ 」

 

 

そして、またシュート練習に。

で、また何本か蹴った後、集まってもらい、

今度は一人ひとりのキックを動画で撮ることに。

 

張りきりすぎてるやつは予想通り、

思いきってすっ転んでくれましたが(笑)

 

この後にやった3チームでのゲーム練習の

やってないチームにその動画を見せ、

キャッキャ言いながらそれを見ては

またそれぞれキックの練習をしていました。

 

もうだいぶ前になりますが、

ドイツでコーチをしていた指導者の講習会で、

こんな話しを聴いたことがあります。

 

 

 「 ドイツの選手が

   あれだけ強くて正確なシュートが打てるのは、

   小さい頃から蹴ってるからじゃないですかね 」

 

 

 「 子供たちは自分の蹴ったボールの

   飛んでいく軌道やスピード感を

   無意識に見てるんですよね。

   それが前より増してるとすごく快感で、

   さらにその先を見たくなって

   どんどんと追い求めていくんだと思います 」

 

 

 「 正確性ももちろん大事ですが、

   まずは、より遠くに飛んでいく快感、

   より速く飛んでいく快感を覚えさせるために

   強いボールを蹴らせることも

   大事ではないでしょうか?

   ドイツではまだパワーがない

   子供たちのためにボールの空気を少し抜いて

   わざと飛びやすくすることもあります 」

 

 

確かに子供はそのプレーに快感を覚えれば、

こっちが言わなくたって、いつまでもやりますよね。

あ、でもそれは子供だけじゃなくて、大人もか。

 

快感はその人の内側からしか湧いてこないものだから、

指導者としてはどうやってその快感が生まれるような

練習設定や空気感を作り出すのか、なんでしょうね。

 

そう、このお話を聞いてもうひとつ思ったことは、

 

 

「 強いボールを蹴ること 」≒「 自分を解放すること 」

 

 

思いっきり強いボールを蹴るとなると、

身体の部位すべてを総動員して蹴らないといけない。

メンタル的にも迷っていられないし、熱量も必要。

 

自分を解放せざるを得ないんじゃないかと。

 

今の時代の日本社会を考えると、

このことってすごく必要じゃないかと思うんです。

 

2年前に行われた

「 U-12 ジュニアサッカー ワールドサッカーチャレンジ 」

で見て激しく印象に残った

アルゼンチンチームについて書いた当時の記事に

そんなことを書いていました。

 

 

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「 U-12 ジュニアサッカー ワールドチャレンジ 」

予選リーグの3試合だけ観に行ってきました。

 


FCバルセロナ 」「 RCDエスパニョール 」の、

個人として、チームとしての技術・戦術レベルの高さは、

サッカー脳を刺激されまくって大いに楽しかったのですが、

激しく印象に残ったのはやっぱり、

アルゼンチンの「 デポルティーボ・カミオネーロス 」!

 


バルサエスパニョール、

Jリーグの下部組織のチームのような

綺麗なパス回しができるわけではなく、

どちらかというと戦闘的。

おじいちゃん監督はずっと

檄を飛ばしながら、審判に文句を言いながら、

そして選手たちはそれに呼応するように激しいプレーを。

決してスマートではないし、エレガントでもない。

でも、熱い。笑っちゃうくらいに、気持ちよく熱い。

 


いきなりワンプレー目の流れから先制、

でも自力に勝る大宮アルディージャ

ボールを支配されて同点。

その後も押されまくりながらもなんとか耐え、

後半の半ば過ぎにめっちゃ思い切りのいい

ロングシュートで勝ち越し、2対1で勝利

 


この試合展開も熱かったですが、

それ以外でもビックリする熱いことだらけ!

 


大会の登録背番号が決まっているのに、

ぽっちゃりFWの少年は

この試合は9番がいいとゴネて結局代えたり、

おじいちゃん監督はテクニカルエリアのマーカーを

足で徐々に広げては第4審判と言い争いになってたり、

勝ち越しゴールを奪った瞬間、あまりの嬉しさで、

ベンチメンバーがピッチ内に入って来て一緒に喜んだり、

それの先陣を切ったのがじつはヘッドコーチだったり、

ゴールを奪った少年は感情の高ぶりで涙を流しちゃってたり、

リードしてからの残り時間は監督もコーチも、

テクニカルエリアどころかピッチに入って指示を出してたり。

 


漫画か!ってことばかり(笑)

 


でもちょっと

考えさせられちゃいましたね、あの「 解放 」具合には。

日本の社会ではもちろん、

あそこまで全開になることは難しいけども、

でも、子ども時代に一体どれだけ

「 解放 」させてもらえてるのかなって。

 


日本の今の社会って、残念だけども、

あれをしちゃいけない、これをしちゃいけない、

っていう窮屈な空気がありますよね、それは学校にも。

だからどうしたって子どもたちは

「 何かをやろう 」って気持ちより、

「 何かをやらかさないようにしよう 」

ってなると思うんです。

 


しかもその上で、

こうしきゃいけないという規則や

決まりやルールにも縛られるんだから。

 


そんな今の日本の社会だから、

ココロのネジを「 締めるような教育 」より

「 緩めるような教育 」をしていった方が

いいんじゃないかなと。

 

それでちょうど、

ココロのバランスが取れる気がするんですよねぇ。

 


サッカーの現場でよく感じるのですが、

欧米や中南米のように個人主義がしっかりと根づいていて、

一人ひとりの意見を持つことや

主張することが当たり前な社会では、

その調和を保つためのルールや規律が

強調されてもいいと思うのです。

 

それできっと、

個人とチームのいいバランスが保てるはずだから。

 


でも日本の場合はその前提からして違っているし、

インターネットが普及してからくらいの

加速した閉塞感を考えたら、

子どもたちのココロを緩めてあげて

「 解放された自分の存在 」に

まず気づかせてあげた方が

いいんじゃいかなとボクは思っています。

 


しかもね、

そこにしかない「 自由 」を感じちゃったら、もうねーー。

 


本当に本当にいいもんを見させてもらいました、

解放軍団デポルティーボ・カミオネーロス、グラシアース!!

 

 

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せっせとやれることからやっていきましょ。

 

この日の練習を終えると、

つい最近「 FCバルセロナ 」に移籍した

デンベレ ” のようなしなやかさを持つ

5年生のレフティー君がやってきて、

 

 

 「 アリサカコーチ、

   3・4年生の練習でキックの映像を撮ってたの?

   さすが、東京出身だなーーー 」

 

 

って、東京は関係ないわ(笑)

 

しっかし、綺麗な夕陽でした。

 

 


 『 電気より、蒸気より、原子力より、

   強い動力がある。“ 意志 ” の力だ 』

    「 マンチェスター・U 」監督 モウリーニョ

 


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